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相続税の更正の請求:期限5年と分割後4か月の特則

  • 相続税申告
  • 更正の請求
  • 遺産分割

この記事の結論

  • 更正の請求は、申告した相続税額が多すぎたときに減額を求める手続です。原則の期限は法定申告期限から5年以内です(国税通則法23条1項、国税庁 B1-27)。税額が増えるときは更正の請求ではなく修正申告をします。
  • 未分割で法定相続分により申告した後に遺産分割がまとまった、遺留分侵害額の請求で払う額が確定した、遺贈の遺言書が見つかった、といった事由で税額が過大になったときは、その事由が生じたことを知った日の翌日から4か月以内に請求できます(相続税法32条1項)。
  • 請求は納税地の所轄税務署長に「相続税の更正の請求書」を出し、理由の基礎となる事実を証明する書類を付けます。税務署が調べて更正するか、理由がない旨を通知します(国税通則法23条3項・4項)。

相続税を申告した後で、財産の評価を間違えて高く計算していた、あるいは法定相続分で仮に申告した後に遺産分割がまとまって取り分が減った。こうしたときに納めすぎた税額を減らしてもらう手続が「更正の請求」です。期限が2種類あるので、どちらに当たるかを先に確かめます。

更正の請求と修正申告

手続 使う場面 誰が直すか
更正の請求 申告した税額が多すぎた(過大) 納税者が請求し、税務署長が調査して更正する
修正申告 申告した税額が少なすぎた(過少) 納税者が自分で申告し直す

申告漏れの財産が見つかったときは修正申告です。期限内に申告していなかった場合の扱いは相続税の申告期限を過ぎたらにまとめています。

期限は2種類ある

原則:法定申告期限から5年

国税通則法23条1項は、申告した税額の計算が法律の規定に従っていなかったり、計算に誤りがあったりして納付すべき税額が過大なときは、法定申告期限から5年以内に限り更正の請求ができるとしています。相続税の法定申告期限は、通常、死亡を知った日の翌日から10か月です(相続税の申告期限は10か月)。

国税庁の手続案内(B1-27)も、平成23年12月2日以後に法定申告期限が来る相続税の申告は、法定申告期限から5年以内としています。

特則:事由を知った日の翌日から4か月

相続税法32条1項は、申告の後に次のような事由が生じて税額が過大になったときは、その事由が生じたことを知った日の翌日から4か月以内に更正の請求ができるとしています。

号 事由(要約)
1号 未分割の財産を法定相続分などで申告した後に分割が行われ、各人の課税価格が変わった
2号 認知・相続人の廃除などの裁判の確定、相続の回復、相続放棄の取消しなどで相続人に異動が生じた
3号 遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額が確定した
4号 遺贈に係る遺言書が発見された、または遺贈の放棄があった
7号 特別縁故者への財産分与など(相続税法4条1項・2項の事由)が生じた
8号 申告期限後の分割で配偶者の税額軽減を受けられることになった

このほか、判決などで課税の基礎となった事実が異なると確定したときは、確定した日の翌日から2か月以内に請求できます(国税通則法23条2項)。国税庁の案内が「2か月又は4か月以内」と書いているのはこの2つの特則のことです。

未分割で申告した後に分割がまとまった場合

相続税の申告は、遺産分割がまとまっていなくても期限は延びません。分割前は、各相続人が民法の相続分(または包括遺贈の割合)で取得したものとして計算して申告します(国税庁 タックスアンサーNo.4208)。

その後に分割がまとまったら、実際の取得額で計算し直します。

  • 実際の分割に基づく税額が多い人は、修正申告をする
  • 実際の分割に基づく税額が少ない人は、分割を知った日の翌日から4か月以内に更正の請求をする

このとき、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を新たに適用できますが、原則として申告期限から3年以内に分割された場合に限られます(No.4208)。3年以内に分割できない見込みのときは、申告の際に必要な手続をしておきます。

分割がまとまらず家庭裁判所の手続になった場合の流れは遺産分割調停、遺留分の請求は遺留分とはを参照してください。

請求の手続

項目 内容
提出先 納税地の所轄税務署長(被相続人の住所地を所轄する税務署)
書類 相続税の更正の請求書(令和5年1月分以降用など、相続開始の時期に合った様式)と、申告に係る課税価格・税額等及び更正の請求による課税価格・税額等の付表
添付書類 更正の請求の理由の基礎となる事実を証明する書類(遺産分割協議書の写し、評価の根拠資料など)
提出方法 e-Tax(相続税は e-Tax ソフトで作成し、添付書類をPDFで提出)、または書面を持参・送付

請求書には、更正後の課税価格や税額、請求の理由、請求するに至った事情の詳細などを書きます(国税通則法23条3項)。税務署長は内容を調査し、更正をするか、更正をすべき理由がない旨を通知します(同条4項)。請求をしただけでは、納めるべき税の徴収は原則として猶予されません(同条5項)。

提出先の税務署の調べ方は相続税の管轄税務署にまとめています。

よくある質問

更正の請求と修正申告はどう違いますか?

更正の請求は、申告した税額が多すぎたときに減額を求める手続です。修正申告は、申告した税額が少なすぎたときに自分で直す手続です。国税庁は、未分割の申告の後に分割した場合、実際の分割に基づく税額が多ければ修正申告、少なければ更正の請求をするとしています(タックスアンサーNo.4208)。

遺産分割が申告期限から何年もたってからまとまっても請求できますか?

相続税法32条1項は、分割によって税額が過大となったときは、分割があったことを知った日の翌日から4か月以内に更正の請求ができるとしています。ただし、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を新たに使えるのは、原則として申告期限から3年以内に分割された場合に限られます(No.4208)。

更正の請求をすれば、納めた相続税はすぐ戻りますか?

請求があると税務署長が調査し、更正をするか、更正すべき理由がない旨を通知します(国税通則法23条4項)。請求をしても、納付すべき国税の徴収は原則として猶予されません(同条5項)。

出典・参考(公的機関)

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の申告は税務署・税理士にご確認ください。

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