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遺言執行者とは:権限・選任の申立て800円と報酬

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  • 遺言執行者
  • 家庭裁判所

この記事の結論

  • 遺言執行者は遺言の内容を実現する人です。遺言で指定するか、指定を第三者に委ねることができ(民法1006条)、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を持ちます(1012条)。
  • 遺言に指定がないときや執行者がいなくなったときは、相続人・受遺者などの利害関係人が、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に選任を申し立てます。費用は遺言書1通につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手です(民法1010条・裁判所)。
  • 未成年者と破産者は遺言執行者になれません(1009条)。就任したら遅滞なく遺言の内容を相続人に通知し、相続財産の目録を作って交付します(1007条2項・1011条)。報酬は遺言に定めがなければ家庭裁判所が定めることができます(1018条)。

遺言書に「遺言執行者として長男を指定する」と書かれていた、あるいは遺言書はあるのに執行者の指定がない。遺言執行者は、遺言の内容を実際に実現する役割の人です。ここでは、民法の条文と裁判所の手続案内をもとに、執行者の決め方、できること、就任後にする手続、報酬までをまとめます。

遺言執行者の決まり方

遺言執行者は次のいずれかで決まります。

決まり方 内容 根拠
遺言で指定 遺言者が遺言で1人または数人を指定する 民法1006条1項
指定の委託 遺言で第三者に指定を委ね、その人が指定して相続人に通知する 民法1006条1項・2項
家庭裁判所が選任 遺言執行者がないとき・なくなったときに、利害関係人の請求で選任する 民法1010条

指定された人が引き受けるかどうかは本人の判断です。就職を承諾したときは、直ちに任務を始めなければなりません(民法1007条1項)。

なれない人

民法1009条は、未成年者と破産者は遺言執行者になれないとしています。これ以外に資格の制限はなく、相続人や受遺者が務めることもできます。

家庭裁判所に選任を申し立てる

裁判所の手続案内によると、申立ての要点は次のとおりです。

項目 内容
申し立てできる人 利害関係人(相続人、遺言者の債権者、遺贈を受けた者など)
申立先 遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
費用 執行の対象となる遺言書1通につき収入印紙800円分、連絡用の郵便切手(裁判所ごとに異なる)

主な添付書類

  • 遺言者の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 遺言執行者候補者の住民票または戸籍附票
  • 遺言書の写し、または遺言書の検認調書謄本の写し
  • 利害関係を証する資料(親族の場合は戸籍謄本など)

申立先の家庭裁判所に遺言書の検認の事件記録が保存されている場合(検認から5年間)は、戸籍謄本と遺言書の写しの添付は要りません。自筆の遺言書は、法務局で保管していたものを除き、先に家庭裁判所の検認が必要です。手順は遺言書の検認にまとめています。

遺言執行者ができること・しなければならないこと

権限

遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を持ちます(民法1012条1項)。遺言執行者がいる場合、遺贈の履行は執行者だけができます(同条2項)。執行者が権限内で、遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接効力を生じます(1015条)。

特定の財産を特定の相続人に承継させる遺言(特定財産承継遺言)があるときは、遺言執行者は、その相続人が登記などの対抗要件を備えるために必要な行為をすることができます(1014条2項)。

相続人が妨げることはできない

遺言執行者がある場合、相続人は相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為ができません。これに違反した行為は無効ですが、その無効は善意の第三者には主張できません(民法1013条1項・2項)。

就任後の手続

すること 内容 根拠
遺言内容の通知 任務を開始したら、遅滞なく遺言の内容を相続人に通知する 民法1007条2項
財産目録の作成 遅滞なく相続財産の目録を作って相続人に交付する。相続人の請求があれば立会いのうえ作るか、公証人に作らせる 民法1011条
報告など 委任の規定(報告・受取物の引渡しなど)が準用される 民法1012条3項

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報酬・解任・辞任

報酬は、遺言に定めがあればそれに従い、定めがなければ家庭裁判所が相続財産の状況その他の事情によって定めることができます(民法1018条1項)。

遺言執行者が任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人が家庭裁判所に解任を請求できます。執行者自身も、正当な事由があれば家庭裁判所の許可を得て辞任できます(民法1019条)。執行者がいなくなった場合は、改めて選任を申し立てることになります(1010条)。

遺言を作る側が考えておくこと

遺言で執行者を指定しておくと、相続開始後に選任の申立てをする手間が省けます。公証人が作る公正証書遺言でも、自分で書く自筆証書遺言でも指定できます。遺言の書き方の型は遺言書の例文にまとめています。

よくある質問

遺言執行者は必ず選ばなければいけませんか?

法律上、すべての遺言で必要というわけではありません。遺言に指定がなく、相続人全員で遺言どおりの手続を進められる場合は選任しないこともあります。指定がないときや執行者がいなくなったときに、利害関係人の申立てで家庭裁判所が選任できる仕組みです(民法1010条)。

相続人の一人が遺言執行者になれますか?

なれます。民法が遺言執行者になれないとしているのは未成年者と破産者だけです(1009条)。家庭裁判所に選任を申し立てるときは、候補者の住民票または戸籍附票を添付します。

遺言執行者がいるのに相続人が勝手に財産を処分したらどうなりますか?

遺言執行者がある場合、相続人は相続財産の処分など遺言の執行を妨げる行為ができず、違反した行為は無効です。ただし、その無効を善意の第三者に主張することはできません(民法1013条1項・2項)。

出典・参考(公的機関)

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の手続は家庭裁判所・専門家にご確認ください。

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