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生前贈与の非課税枠110万円|親から500万の贈与税
- 生前贈与
- 贈与税
- 相続対策
この記事の結論
- 暦年課税の基礎控除は受贈者1人あたり年110万円で、この範囲なら贈与税の申告は原則不要とされています。
- 相続開始日が2027年1月1日以降になると、相続財産に加算される暦年贈与の対象期間が段階的に7年へ延びるとされています。
- 相続時精算課税は累計2,500万円の特別控除に加え、2024年分から年110万円の基礎控除が使えるとされています。
生前贈与とは、存命のうちに財産を子や孫などに移しておくことです。相続財産を減らせるため対策の入り口として挙げられますが、贈与税という別の税金があり、相続開始前の一定期間の贈与は相続財産に足し戻されるとされています。「年110万円までなら安全」という理解だけで進めると、想定した効果が出ないことがあります。
生前贈与の非課税枠は年いくらまでですか?
贈与税の原則的な方式が「暦年課税」です。租税特別措置法第70条の2の4では、贈与税の課税価格から110万円を控除すると定められています。つまり、その年の1月1日から12月31日までに受けた贈与の合計が110万円以内であれば、一般に贈与税はかからず、申告も不要とされています。
注意したいのは、110万円が「あげる人ごと」ではなく「もらう人ごと」の枠だという点です。父から110万円、祖父から110万円を同じ年に受け取ると、合計220万円から110万円を控除した残りが課税対象になる、というのが一般的な整理です。
500万円を贈与すると贈与税はいくらになりますか?
110万円を超える贈与には、超えた部分に税率がかかります。国税庁の速算表は、贈与する相手によって2つに分かれています。
| 基礎控除後の課税価格 | 特例税率(18歳以上の子・孫が父母や祖父母から) | 一般税率(それ以外) |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | 10% |
| 400万円以下 | 15%(控除10万円) | 20%(控除25万円) |
| 600万円以下 | 20%(控除30万円) | 30%(控除65万円) |
| 1,000万円以下 | 30%(控除90万円) | 40%(控除125万円) |
| 1,500万円以下 | 40%(控除190万円) | 45%(控除175万円) |
| 3,000万円以下 | 45%(控除265万円) | 50%(控除250万円) |
| 3,000万円超 | 50%〜55%(控除415万〜640万円) | 55%(控除400万円) |
国税庁の計算例では、500万円の贈与について、特例税率なら「(500万円-110万円)×15%-10万円=48万5,000円」、一般税率なら「(500万円-110万円)×20%-25万円=53万円」とされています。同じ500万円でも、誰から誰への贈与かで結果が変わります。
「生前贈与の7年ルール」とは何ですか?
影響が大きいのが、相続開始前の一定期間内の贈与は相続財産に加算されるというルールです。相続税法第19条の見出しは「相続開始前七年以内に贈与があつた場合の相続税額」で、110万円以内で贈与税がかからなかった分も加算対象になるとされています。ただし7年がいきなり全員に適用されるわけではなく、国税庁は相続開始日に応じて次のように整理しています。
| 相続開始日 | 加算対象期間 | 実質的な長さ |
|---|---|---|
| 〜2026年12月31日 | 相続開始前3年以内 | 3年 |
| 2027年1月1日〜2030年12月31日 | 2024年1月1日から死亡の日までの間 | 3年超〜7年未満(年々長くなる) |
| 2031年1月1日〜 | 相続開始前7年以内 | 7年 |
延長された部分(相続開始前3年より前の贈与)は、相続税法第19条により価額の合計額から100万円を控除した残額を加算するとされています。対象は2024年1月1日以後の暦年贈与で、それより前まで遡って7年分が足し戻されるわけではない点も、国税庁の表から読み取れます。
このため「駆け込み贈与」は効果が生じにくくなったといわれ、早い時期から計画的に行う重要性が増したと説明されています。ほかの手続きの期限は相続手続きの期限一覧で確認できます。
相続時精算課税と暦年課税は何が違うのか
もう一つの方式が「相続時精算課税」です。原則60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、贈与者ごとに選べるとされています。2024年からは、この制度にも年110万円の基礎控除が設けられました(租税特別措置法第70条の3の2)。
| 比べる点 | 暦年課税 | 相続時精算課税 |
|---|---|---|
| 毎年の控除 | 基礎控除110万円(受贈者ごと) | 基礎控除110万円(特定贈与者ごと) |
| そのほかの控除 | なし | 累計2,500万円の特別控除 |
| 超えた部分の税率 | 10%〜55%の累進税率 | 一律20% |
| 相続時の加算 | 加算対象期間内の贈与を加算(上表) | 贈与時の価額を加算(基礎控除額を除く) |
| 選び直し | 毎年自由 | 同じ贈与者について暦年課税へ戻せないとされる |
| 届出 | 不要 | 「相続時精算課税選択届出書」が必要とされる |
どちらが有利かは、贈与額・続けられる年数・相続財産の規模で変わるため一律には決まりません。判断の前に相続税の早見表や無料の相続税シミュレーターで規模感を掴み、基礎控除の解説記事もあわせてご覧ください。
そのほかに使える非課税の特例はありますか?
一定の要件を満たす場合、次の特例もあるとされています。要件は細かく定められているため、適用の可否は一次情報と専門家で確認してください。
- 住宅取得等資金の贈与: 2026年12月31日までは省エネ等住宅で1,000万円、それ以外で500万円までが非課税とされています
- 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に関する特例
- 生命保険の非課税枠は生命保険の非課税枠の解説記事へ
なお、住宅取得等資金や教育資金の非課税の適用を受けた金額は、相続財産への加算対象から外れる取り扱いがあるとされています(国税庁 No.4161)。
名義預金と言われないためには何を確認すればよいですか?
子や孫名義の口座に毎年入金していても、通帳や印鑑を贈与者が管理し、受贈者が自由に使えない状態では、いわゆる名義預金として贈与と認められないことがあるとされています。次の項目は、実態を説明できるかを確かめる目安です。相続税の申告での扱いと国税庁の事例は名義預金とはで整理しています。
| 確認すること | 望ましい状態 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 合意の記録 | 贈与のつど契約書を作り双方が署名している | 口頭のみで記録がない |
| 口座の管理 | 受贈者本人が通帳・印鑑を持っている | 贈与者が保管したまま |
| 受贈者の認識 | 贈与を受けたことを知っている | 口座の存在を知らない |
| 資金の動き | 本人の意思で使われている | 入金だけで動いていない |
| 申告 | 110万円超の年は期限内に申告している | 超えた年も申告していない |
贈与税の申告と納税は、原則として財産をもらった人が、もらった年の翌年2月1日から3月15日までに行うとされています。遅れた場合は加算税や延滞税がかかるとされるため、超えた年の申告漏れには注意が必要です。
よくある質問
生前贈与は年間いくらまで非課税ですか?
暦年課税では、一般に受贈者1人あたり年110万円の基礎控除があり、その範囲内なら贈与税はかからないとされています。ただし相続開始前の一定期間の贈与は相続財産に加算されるため、非課税イコール相続税もかからない、とは限りません。
「7年ルール」とは何ですか?
2024年1月1日以後の暦年贈与について、相続財産に加算される対象期間が3年以内から段階的に7年以内へ延びるとされています。国税庁は、相続開始日が2026年末までなら3年以内、2027年〜2030年なら2024年1月1日から死亡の日まで、2031年以降なら7年以内と示しています。
500万円を贈与すると贈与税はいくらになりますか?
国税庁の計算例では、18歳以上の子や孫が父母・祖父母から500万円を受けた場合(特例税率)は48万5,000円、一般税率なら53万円と示されています。実際の税額はその年の贈与の合計額と税率区分で変わります。
相続時精算課税制度とは何ですか?
原則60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与で選択でき、累計2,500万円の特別控除に加え2024年から年110万円の基礎控除が使えるとされています。一度選ぶと暦年課税へ戻せないとされます。
毎年110万円ずつ贈与すれば必ず節税になりますか?
一概にはいえません。加算対象期間内の贈与は贈与税の有無に関係なく足し戻されるとされ、通帳や印鑑を贈与者が管理したままの名義預金は贈与と認められないことがあるとされています。契約書の作成と受贈者本人による口座管理が重要とされます。
出典・参考(公的機関)
- 国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
- 国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
- 国税庁 No.4429 贈与税の申告と納税
- 国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
- 国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
- 国税庁 No.4508 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
- e-Gov 相続税法
- e-Gov 租税特別措置法
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の税務・法務上の効果を保証するものではありません。個別の税務・法務判断は、税理士・司法書士等の専門家にご相談ください。
対策の前に、まずは現状の目安を知る
生前贈与を検討する前に、いまの資産構成で相続税がどれくらいの目安になるかを確認してみませんか。約1分で試算でき、個人情報の入力は最後のステップのみです。
地域別の管轄税務署・相続手続きガイド
申告先の税務署は、亡くなった方の死亡時の住所地で決まります。地域ページでは管轄税務署の所在地・ 電話番号・管轄区域を国税庁の公表資料から掲載しています。
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