最終更新:

相続登記を自分で申請する手順:書き方と登録免許税

  • 相続登記
  • 登録免許税
  • 手続き

この記事の結論

  • 相続登記の申請書はA4の用紙に作り、登記の目的・原因・相続人・添付情報・課税価格・登録免許税・不動産の表示を書きます。管轄の法務局へ窓口持参か郵送(書留)で出すほか、オンラインでも申請できます(法務局)。
  • 登録免許税は、固定資産税の評価額の合計から1,000円未満を切り捨てた課税価格に0.4%を掛け、100円未満を切り捨てた額です。計算した額が1,000円未満なら1,000円になります(前橋地方法務局)。
  • 不動産の価額が100万円以下の土地の相続登記などは、令和9年(2027年)3月31日まで登録免許税が免税です。申請書に「租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税」などと書かないと免税になりません(法務局)。

相続登記は、2024年4月1日から相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が義務になりました(相続登記の義務化)。司法書士に頼むこともできますが、法務局は自分で申請する人向けに申請書の様式と記載例を公開しています。ここでは、東京ブロック管内の法務局がまとめた「相続登記ガイドブック」と法務局の案内に沿って手順を整理します。

申請の流れ

  1. 不動産の登記事項証明書を取り、名義人と不動産の表示(所在・地番・家屋番号など)を確かめる
  2. 戸籍謄本など相続を証明する書類と、不動産を取得する相続人の住民票の写しを集める
  3. 申請書を作り、登録免許税分の収入印紙を台紙に貼る
  4. 不動産を管轄する法務局へ、窓口持参・郵送・オンラインのいずれかで申請する
  5. 登記が終わると、登記識別情報通知書と登記完了証を受け取る

建物が未登記の場合は、いきなり相続登記はできず、先に建物表題登記が必要です。登記事項証明書が取れれば未登記ではないと前橋地方法務局は案内しています。

申請書の書き方

法務局の記載例(法定相続分で妻と子2人が相続する場合)では、次の項目を書きます。

項目 書く内容
登記の目的 所有権移転
原因 「令和○年○月○日相続」(亡くなった日)
相続人 被相続人の氏名、相続人(申請人)の住所・氏名・持分。住民票コードを書けば住民票の写しの添付を省略できる
連絡先の電話番号 平日の日中に連絡が取れる番号
添付情報 登記原因証明情報、住所証明情報(代理人がいれば代理権限証明情報)
登記識別情報 通知を希望しない場合はチェック。郵送で受け取るなら本人限定受取郵便の手配
申請日・申請先 「令和○年○月○日申請 ○○法務局○○支局」
課税価格・登録免許税 下の計算による
不動産の表示 登記事項証明書どおりに書く(不動産番号を書けば所在・地番などを省略できる)

ガイドブックによると、用紙はA4で、パソコンで作るか黒のインク・ボールペンで書きます。鉛筆や消えるペンは使えません。受付シールを貼るため、上端から8cm程度は空けます。申請書が2枚以上になるときは、収入印紙を貼る台紙も含めて各用紙のつづり目に契印をします(収入印紙そのものには押印しません)。

遺産分割協議で特定の相続人が取得する場合は、登記原因証明情報に遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書が加わります。協議書の作り方は遺産分割協議書の必要書類にまとめています。

添付書類と原本還付

法定相続分で相続する場合、ガイドブックの必要書類チェックリストは次のとおりです。

書類 取得場所
被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍)謄本 本籍地の市区町村
相続人全員の戸籍謄本(死亡日以後の証明日のもの) 各相続人の本籍地の市区町村
不動産を取得する相続人の住民票の写し(マイナンバーの記載がないもの) 住所地の市区町村
固定資産課税明細書または固定資産評価証明書(課税価格の計算用) 納税通知書に同封/市区町村
相続関係説明図(戸籍の原本を返してもらうため) 自分で作る
委任状(代理人に頼む場合) 自分で作る

被相続人の登記上の住所が最後の住所と違う場合は、住民票の除票や戸籍の附票も要ります。戸籍の束は、法務局の法定相続情報一覧図の写しで代えられます。令和6年4月からは申請書に法定相続情報番号を書けば、一覧図の写しの添付も省略できます。

添付書類は原本が原則ですが、コピーに「原本に相違ありません。」と書いて署名(記名)押印し、原本と一緒に出せば、登記完了後に原本を返してもらえます(原本還付請求)。戸籍類は相続関係説明図を付ければ、この手続なしで返却されます。不動産登記ではマイナンバーは使えないので、住民票はマイナンバーの記載がないものを出します。

登録免許税の計算

手順 内容(前橋地方法務局の計算例)
1. 評価額を確かめる 固定資産課税明細書の「価格」または「評価額」の欄(「固定資産税課税標準額」とは違う)。共有なら持分を掛ける
2. 課税価格を出す 申請する土地・建物の評価額の合計から1,000円未満を切り捨てる(合計してから1回だけ)。例:602,850円→602,000円
3. 税率を掛ける 相続登記は1000分の4(0.4%)。例:602,000円×4/1000=2,408円
4. 端数を切り捨てる 100円未満を切り捨てる。例:2,408円→2,400円。1,000円未満になったときは1,000円

収入印紙で納めるほか、オンライン申請では電子納付もできます。相続した不動産にかかる税金の全体は相続した不動産の税金一覧で確かめてください。

登録免許税の免税措置(令和9年3月31日まで)

法務局によると、相続による土地の登記には次の2つの免税措置があり、令和7年度の税制改正で適用期限が令和9年(2027年)3月31日まで延長されました。

免税措置 対象 申請書に書く文言
(1) 登記をしないまま相続人が亡くなった場合 相続で土地を取得した人が、その相続登記を受ける前に亡くなったとき、その人を名義人とするための登記 租税特別措置法第84条の2の2第1項により非課税
(2) 不動産の価額が100万円以下の土地 相続による土地の所有権移転登記(表題部所有者の相続人が受ける所有権保存登記を含む)。令和7年度改正で全国の土地が対象に 租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税

どちらも、申請書に根拠の条項を書かないと免税は受けられません。(2)は持分で取得する場合、不動産全体の価額に持分の割合を掛けた額で判断します。(1)は、数次相続で1回目の相続登記が終わっていなかった場合に関係します(代襲相続と数次相続)。建物はどちらの免税措置の対象にもなりません(対象は土地)。

提出のしかた:窓口・郵送・オンライン

方法 ポイント
窓口に持参 管轄法務局の不動産登記の申請窓口に出す
郵送 封筒に「不動産登記申請書在中」と書き、書留郵便(レターパックプラスも可)で送る。登記完了証などを郵送で受け取るなら返信用封筒と切手を同封
オンライン 登記・供託オンライン申請システムの申請用総合ソフトで作成・送信する。マイナンバーカードの電子証明書とICカードリーダライタが必要。戸籍などの書面は、受付の日から2日以内(初日・休日等を除く)に持参か書留郵便等で届ける

オンライン申請でマイナンバーカードの電子証明書を提供すると、住民票などの現在の住所を証する情報の提出は不要になります。わからない点は、各法務局が事前予約制で行っている登記手続案内で相談できます。

よくある質問

相続登記は自分でもできますか?

できます。法務局は、申請書の様式と記載例をホームページに掲載し、各法務局で事前予約制の登記手続案内も行っています。ただし遺産分割の内容についての相談には法務局は答えられないとしています。

相続登記の登録免許税はいくらですか?

固定資産税の評価額の合計から1,000円未満を切り捨てた課税価格に0.4%(1000分の4)を掛け、100円未満を切り捨てた額です。例えば評価額の合計が602,850円なら、課税価格602,000円×0.4%=2,408円で、登録免許税は2,400円です(前橋地方法務局の計算例)。

オンラインで申請すれば法務局に行かずに済みますか?

完全にはオンラインで完結しません。戸籍謄本などが電子署名付きの電子文書で発行されていないため、オンラインで申請した後、書面の添付情報を法務局に持参か郵送する必要があり、受付の日から2日以内(初日・休日等を除く)に届ける必要があります(法務局)。

出典・参考(公的機関)

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の申請内容は管轄の法務局・司法書士にご確認ください。

→ 相続コラムの一覧に戻る

ご自身の場合の目安を確認してみませんか

家族構成と資産の内訳を入力するだけで、相続税額の目安を約1分で試算できます。

相続税の悩みは、専門家への相談が近道です

申告が必要か分からない、何から手を付ければいいか分からない——そんな段階のご相談から無料で受け付けています。

申告先の税務署は、亡くなった方の死亡時の住所地で決まります。地域ページでは管轄税務署の所在地・ 電話番号・管轄区域を国税庁の公表資料から掲載しています。

  • 遺産分割協議書の必要書類一覧|作り方と提出先・期限

    遺産分割協議書には、相続人全員の署名・実印と印鑑証明書が必要とされるのが一般的です。必要書類を取得先・費用の目安つきの一覧表にまとめ、相続人と財産を確定する作り方の流れ、相続登記・預貯金の解約・相続税申告での使い道を整理します。

  • 相続税の申告期限は10か月|起算日の数え方と遅れた時

    相続税の申告・納税の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内とされています。起算日の数え方、期限が土日祝に当たる場合の扱い、遺産分割が終わらないときの申告、遅れた場合の無申告加算税・延滞税の考え方を整理します。

  • 相続登記の義務化とは?期限3年・過料10万円と費用

    2024年4月から相続登記の申請が義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内の登記申請が求められるようになりました。義務化の内容と期限、正当な理由なく怠った場合の過料、手続きの流れと必要書類・費用の目安を解説します。

相続コラムの一覧をすべて見る