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相続税申告を自分でやる手順|条件と依頼の判断基準
- 相続税
- 自分で申告
- 税理士
この記事の結論
- 相続税申告は税理士への依頼が法律上の義務ではなく、要件が単純な場合は自分で申告することもできます。
- 相続人間の合意がある・財産の種類と数が少ない・複雑な土地や非上場株式がない場合は自分で進めやすいとされています。
- 途中まで自分で進めてから税理士に依頼することもできますが、期限が近いほど選択肢は狭くなります。
相続税申告は、必ず税理士へ依頼しなければならない手続きではありません。一方、申告書を作れることと、財産を適切に把握・評価して特例の要件を判断できることは別です。どこで線を引くかを、国税庁の資料をもとに整理します。
相続税申告は自分でできますか?
相続税法にも、税理士へ依頼することを義務づける定めはありません。国税庁も申告書の様式と手引きを公開しており、本人が作成して提出することは想定されています。提出方法も、e-Taxによる送信のほか、郵便・信書便による送付、税務署の時間外収受箱への投函があるとされています。
判断の分かれ目になるのは、書類を作れるかどうかではなく、財産の範囲と評価を自分で説明できるかです。申告後に税務署から問い合わせがあったとき、数字の根拠を示せるかが基準になります。
自分で進めやすいのはどんなケースですか?
次の表は判断のための目安で、公的な認定基準ではありません。左右のどちらに寄っているかで、必要な作業量が変わります。
| 判断軸 | 自分で進めやすい | 早めに税理士へ相談したい |
|---|---|---|
| 相続人の関係 | 連絡が取れ、分割の方針が固まっている | 連絡が取れない・話し合いが進まない |
| 財産の種類 | 預貯金と自宅が中心で資料がそろっている | 非上場株式・事業用財産・国外財産がある |
| 土地 | 1〜2か所で形状も権利関係も単純 | 複数ある、形が不整形、貸している |
| 特例 | 使わなくても申告内容が明確 | 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を検討する |
| 生前贈与 | 直近の贈与がない | 過去の贈与や名義財産の確認が必要 |
| 期限 | 十分に時間がある | 期限が迫っている |
右側に該当するものが多い場合でも、必ず依頼しなければならないわけではありません。ただし、確認に必要な時間が増えるため、着手を早める必要があります。まず申告の全体の流れと必要書類、提出先の税務署を確認してください。全体の期限は相続手続きの期限一覧で並べられます。
自分で申告するときの手順は?
| # | やること | 使う資料・確認先 |
|---|---|---|
| 1 | 相続人を確定する | 出生から死亡までの戸籍等 |
| 2 | 財産・債務を一覧化する | 通帳、残高証明、固定資産税の納税通知書、保険証券 |
| 3 | 財産を評価する | 国税庁の評価に関する手引き、路線価図 |
| 4 | 税額を計算する | 申告書の様式と手引き、相続税の早見表 |
| 5 | 添付書類をそろえる | 戸籍、遺産分割協議書、評価の計算過程 |
| 6 | 提出して納税する | 被相続人の住所地を所轄する税務署 |
3と4は、あとで説明を求められる可能性がある部分です。残高証明や評価の計算過程を、どの資料から何を拾ったかが分かる形で保存しておきます。概算の見当をつけるだけなら無料の相続税シミュレーターを使えますが、申告書の代わりにはなりません。
つまずきやすいのは1と2です。相続人の確定には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要になるとされており、本籍地が移っている場合は複数の市区町村へ請求することになります。財産の把握も、通帳に出てこないもの(貸金庫、名義の異なる預金、未受領の給与や配当、生命保険金)を拾えるかどうかで結果が変わります。この2つは時間がかかるうえ、外から進み具合が見えにくいため、早い時期に着手しておくと後の工程が詰まりません。
申告の内容そのものより、期限内に提出することが優先される場面もあります。分割が決まらない場合でも、期限までに法定相続分で計算して申告する取扱いがあるとされているため、間に合わない見込みが立った時点で進め方を決めておきます。
e-Taxを使う場合も、利用環境、送信できる帳票、添付書類の方式を事前に確認します。申告内容によってはe-Taxを利用できない場合があるとされているため、期限直前に初めて操作するのは避けるのが無難です。
自分で申告する場合、費用はどれくらいかかりますか?
税理士報酬はかかりませんが、書類の取得に実費がかかります。金額に政令の定めがあるものと、自治体の条例によるものが混ざっています。
| 費目 | 一通あたりの額 | 根拠 |
|---|---|---|
| 登記事項証明書(書面請求) | 600円 | 登記手数料令 |
| 登記事項証明書(オンライン請求・窓口交付) | 490円 | 登記手数料令 |
| 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本) | 450円 | 地方公共団体の手数料の標準に関する政令 |
| 除籍・改製原戸籍の謄本 | 750円 | 同上 |
| 住民票の写し・印鑑登録証明書 | 自治体により異なる | 上記政令に定めなし |
1通あたりは少額でも、相続人が多い場合や本籍地の移動が多い場合は通数が積み上がります。依頼した場合の報酬の読み方は税理士費用・料金の決まり方にまとめています。
途中から税理士へ依頼するときは何を渡せばよいですか?
戸籍類、財産・債務の資料、遺言書・遺産分割資料、過去の贈与資料、作成途中の財産一覧と申告書をまとめます。あわせて、次の3つを分けたメモを添えると、引き継ぎが早くなります。
- 確認できたこと(根拠資料つき)
- まだ確認できていないこと
- 判断に迷っていること
受任できるかは事務所の空き状況と期限までの残り時間によるとされており、期限が近いほど選択肢は狭くなります。税理士の選定は相続税に強い税理士の選び方をご覧ください。
なお、税務署への相談と税理士への依頼は別のものです。日本税理士会連合会によれば、税理士の業務には税務代理、税務書類の作成、税務相談があり、これらは税理士法に定めがあるとされています。税務署では制度や申告手続について相談できますが、申告内容の代理や作成の代行までは行わないのが一般的です。
よくある質問
相続税申告は税理士に依頼しないとできませんか?
本人が申告することもできます。相続税法にも税理士への依頼を義務づける定めはありません。ただし、財産評価や特例の判定に不安がある場合は、期限に余裕をもって税理士へ相談する方法があります。
自分で申告すると費用はどれくらいかかりますか?
税理士報酬はかかりませんが、書類の取得費用は必要です。登記手数料令では登記事項証明書の書面請求が一通600円、地方公共団体の手数料の標準に関する政令では戸籍全部事項証明書が一通450円、除籍・改製原戸籍の謄本が一通750円と定められています。住民票の写しや印鑑登録証明書などは同政令に定めがなく、自治体の条例によって異なります。相続人が多い場合や本籍地の移動が多い場合は通数が増えます。
途中まで自分で進めてから税理士へ依頼できますか?
依頼できる場合があります。集めた戸籍、残高証明、評価資料、作成途中の財産一覧と申告書、質問事項を整理して渡すと状況を共有しやすくなります。ただし、受任できるかは事務所の空き状況と期限までの残り時間によるとされており、期限が近いほど選択肢は狭くなります。
税務署の相談と税理士への依頼は同じですか?
同じではありません。税務署には制度や申告手続を相談できますが、税理士は委任範囲に応じて税務相談、申告書作成、税務代理などを行います。税務署の相談は申告内容の代理や作成の代行までは行わないのが一般的です。
申告した内容に誤りが見つかったらどうなりますか?
国税庁の資料では、申告期限までに申告をしなかった場合や、実際に取得した財産の額より少ない額で申告をした場合には、本来の税金のほかに加算税や延滞税がかかる場合があるとされています。誤りに気づいた時点で、税額が不足していれば修正申告、多すぎれば更正の請求という手続きがあるとされているため、放置せず所轄税務署や税理士に相談する方法があります。
出典・参考
- 国税庁 B1-2 相続税の申告手続
- 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
- 国税庁 相続税e-Tax特設サイト
- 日本税理士会連合会 税理士とは
- e-Gov 相続税法
- e-Gov 登記手数料令
- e-Gov 地方公共団体の手数料の標準に関する政令
※税理士への相談を保証・強制するものではありません。個別の申告判断はご自身の状況に応じて行ってください。
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